
せっかく「クラシックカー」というカテゴリーを作ったので、今日もそのジャンルのミニカーを 御題に取り上げます。という訳で今日の御題は『グレートレース』です。
『グレートレース』は1965年に製作されたアメリカ映画で、 「ピンクパンサーシリーズ」でおなじみのブレイク・エドワーズ監督作品です。 トニー・カーティスが主役のイケメン興行師グレート・レスリー、 ジャック・レモンがそのライバルのオッサン興行師ドクター・フェイト、 ナタリー・ウッドが男勝りの新聞記者マギーを演じています。

ニューヨークからパリまでを突っ走る超長距離レースを描いたこの映画は、 1908年に実際に行われたニューヨークからパリまでのレースをモチーフに作られました。 フランスとアメリカの大新聞、ル・マタンとニューヨーク・タイムズが共催した実際のレースに参加したのは
アメリカからはこの「トーマス・フライヤー」、

ドイツから「プロトス」

イタリアから「ジュスト」

フランスから「ド・ディオン・ブートン」

同じくフランスから「シゼール・ノーダン」

そしてもう1台フランスから「モトブロック」

の計6台で、スタート後一斉に北米大陸横断に挑みましたが、シゼールとモトブロックの フランス勢2台はサンフランシスコにたどり着けず早くもリタイヤとなります…。 サンフランシスコからは船でアラスカへ向かい、映画でも難所だったベーリング海峡を渡るのも 想定されたルートだったそうですが、本気で張った氷の上を走るつもりだったとか…。 ところが現地に着くと「海峡全体が凍り付くことはまずなく、車での走破など不可能」 ということが解りコース変更になったという大マヌケぶりです。 えっと、これだけの大レースをやるのに下調べをする人は誰もいなかったんでしょうか? 主催してるの新聞社なのに……_| ̄|○
結局、また船で一旦シアトルへ戻って、横浜へと向かい船出し直し、横浜に上陸。 当時はまだ、自動車の走行は想定外の道をなんとか整備しながら駿河まで走って、 そこからまた船でウラジオストックへ向かったそうですが、 なぜ最初からアラスカから対岸へ船で直行しなかったのかは全くの謎です。 アラスカに船で行ったはいいけど、そのあまりの寒さにベーリング海峡だけじゃなく、 シベリア北部を走破するのがイヤになったのかも知れないですね~(笑)。 日本で横浜から駿河へ走ったってのもルート的には逆走だから意味不明だけど、 これはひょっとして、つうか鉄板でフジヤマやゲイシャを見たかったんでしょうね(笑)。

きっとこんな写真を撮って、新聞社に送ったんじゃないでしょうか?(笑)
もっとも、横浜から向かったのは駿河じゃなくて敦賀だという説もあって、 それなら日本海に抜ける訳だから納得ですが、それにしても富士山の前は通ったろうから、 やっぱこういう写真は撮ったことでしょうね(笑)。
まぁそんな感じでウラジオストックからは、トーマス、ジュスト、プロトスの3台がレースを再開し、 ドイツのプロトスがトップでゴールインしたものの、途中のインチキがバレ、 結局、優勝と認められたのはアメリカのトーマス・フライヤーのモデル35、6気筒72HPのこの車でした。 エドウイン・トーマスが1900年に設立したトーマス社は、当時のアメリ力で最も有名で大きな 自動車メーカーの一つでしたが、見事その面目を保った訳です。

お見せしているミニカーはリオ社製の標準スケールで全長は10cm8mm。 白いボディと後部に掲げられたアメリカ国旗がとっても粋で、映画のグレートレスリー号と見比べると、 なるほどあれはこのトーマス・フライヤー号をさらにゴージャスにしたモノだと納得がいきます(笑)。


実際のレースと違って、映画では開始早々、ドクターフェイトの妨害工作でほとんどの車がクラッシュし、 実際にレースをするのは、グレート・レスリー(写真上)とフェイトのハンニバル8(写真下右)、 それから到着が遅れ妨害されなかった女性記者マギーのスタンレー・スティーマー(下左)の3台です。
この3台、なかなかコレクター泣かせの組み合わせで、映画用のオリジナル車両である グレートレスリーとハンニバル8にはミニカーはありません。 レスリーの方は、今回みたいにモデルとなったトーマスフライヤーで代用できるとしても、 ハンニバル8はお手上げです。外観はまだ自作できると思いますが、

この写真のようなボディがビロ~ンと伸び上がるギミックは再現が難しそうで、 ポピニカの『鉄人28号』のクリッパーのギミックを流用できそうなんですが、 そのために1台潰すのはもったいないしなぁ…(笑)。 また、スタンレーは蒸気自動車という特殊性ゆえに模型化そのものはいくつかありますが、 現在では入手困難です。ちょうど1/48という手頃なプラモもあるそうなんですけどねぇ…。
この『グレートレース』は『チキチキマシン猛レース』の元ネタとしても有名で、 グレート・レスリーはキザトト君、フェイト博士と助手のマックスはブラック魔王とケンケン、 マギーはミルクちゃんそのまんまです。マギーが伝書鳩を新聞社との連絡用に持っているのは 『スカイキッドブラック魔王』のホッピーですな(笑)。 『チキチキマシン~』の原題が『Wacky Races』なのも、たぶん、こちらの 「グレート」(偉大な)に対しての「ワッキー」(バカげた、下らない)なんでしょうね(笑)。
もっともこの映画もレース自体はチンタラしてるし、夜は酒場で大騒ぎするし、 挙げ句の果てに全員総掛かりのパイ投げ合戦と、全然グレートじゃないから、 タイトル自体がきっついギャグだったりなんかしちゃったりして(爆笑)。
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