
今日の御題は前回の「死ぬのは奴らだ」の文章の中でちょっと触れた、 この作品のメインのボンドの乗り物こと、ジェットボ-トです。 船体の底から水を取り込み、それをジェットの力によって後ろに噴出して前に進む、 すなわちスクリュ-のいらない先進派ボートという触れ込みだったこのボートは、

その能書きの通りに地を進んで結婚式をぶち壊し(笑)、

宙を舞う大活躍を見せます。
って、アレ? 今の写真、後ろに何か付いてませんでしたか?
そうなんですよ。この「ジェット」ボート、シーンによっては しっかり船外機が付いているんです(笑)。

この写真なんかモロですよね。ボートに詳しい人ならメーカーまで解っちゃいそう(笑)。
じゃ、「ジェット」ってのは宣伝部がデッチあげた、よくあるデタラメ設定か というとそんなことはなく、結婚式の写真には船外機が見あたらないし、

この左隅では後ろがはっきり見えてますが、やはり船外機は無しです。
ということは、たぶん2種類のボートを使って撮影したんでしょうねぇ…。 このジェットボート、通常推進と、勢いを付けて地面を這うことまではできても、 ジャンプはちょっと無理だったか、あるいは破損を恐れて使えなかったかで、 あのジャンプシーンではありきたりの船外機付きボートを使ったんでしょう。 まぁ言わば、ボート用スタント「マン」って訳(笑)。
そうそうスタントマンと言えば、こういう写真があります。

これは公開当時のパンフレットの裏表紙に使われていた写真ですが、 この粋にグラスを傾けるボンドの遥か後ろで爆発してるのは、 すぐ上の写真で敵のボートが突っ込んだ大型船で、ということはつまり、 その瞬間にはボンドはそのすぐ側のボートの中にいなければいけないんですよ!
つまり、この写真は作品世界的には撮れない写真で、ボートを運転してるのが 専門のスタントマンであることを逆手に取った宣伝用スチルという訳です(笑)。 よくよく両方の写真を見比べると、背景がかなり違うので、 爆発シーンは違う場所に違う船をしたてて撮った可能性もありますが、 どっちにせよこんな写真、偶然に撮れるわけもなく、あらかじめ撮ることを予定していた ことになり、その無駄な時間を作らない007スタッフの合理精神に脱帽です。 「節約」ということを、ただ予算をケチることとカンチガイしている どっかの国の製作者たちに、爪の垢を煎じて飲んでもらいたいぐらいです(笑)。

このミニ「カー」は、もちろんフルスクラッチビルドで、たしかマジョレットあたりの 牽引車付きボートを改造したモノですが、なんせ作ったのがもう10年以上前なんで 確かな記憶がありません。サイズ的には約11cmなんで、標準スケール相当だと思います。 今見ると、エッジがヘロったりしてかなりオソマツなデキですが、 まぁ当時の「思い出」でもあるんで、特に手をいれることは止めました。

かなり太り気味だったショーン・コネリーから精悍なロジャー・ムーアにバトンタッチしたこの作品、 後になってムーアの方が3歳年上だったと知って驚いたし、実はムーアも製作者から 撮影開始前にダイエットを命じられ、その無理がたたりクランクイン直後に倒れ、一旦入院…。 それでもすぐ復帰し、撮影に大穴は空けなかったと聞いて、そのプロ根性に目を見張りました。
今日になってみれば、その作品としての完成度には微妙なところもあるこの作品ですが、 この精悍なロジャー・ボンドと、清楚で妖艶なソリテアの美しさ

ポール・マッカートニーのハードな主題歌、それからジョージ・マーティンによる 斬新なBGMの魅力は大きく、私は好きな作品です。
そして当然、このジェットボートもまた、その魅力に大きく貢献しており、 昨年のインターネット界での隠れた流行語である、 Nice, Boat! の一言を 贈ってあげようと思います(笑)。
テーマ:ホビー・おもちゃ - ジャンル:趣味・実用
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