あの空前のスーパーカーブームから30年が経ちました。これまでにもスーパーカーブームの再燃は ランボルギーニやフェラーリがフラッグシップカーの新型を出す度、小規模ながら起こってきました。 中でも1980年代後半はランボルギーニディアブロ、フェラーリF40、ポルシェ959、 そして日本からもホンダNSXと、スター級の車が出そろったので、ちょっと大きめの揺り返しが起こり、 その熱は『サーキットの狼2・モデナの剣』という作品にも結実しました。
まぁそれでも一般庶民にはスーパーカーは高嶺の花であることに変わりなく、バブルも弾け 景気が冷え込むと共に、「手に入らない車に憧れるよりは手に入る車をチューンナップして楽しむ」 という方向性が主流になる、というよりは以前からあったこの傾向がますます強まっていきました。
 『湾岸ミッドナイト』が始まったのは1992年でまさにバブルの弾けてすぐの頃です。 主人公の駆る「悪魔のZ」はスクラップ置き場にあった廃車寸前のS30型フェアレディZで、 それも『サーキットの狼』で魅死魔の初期の愛車として準スーパーカー扱いされていた レース仕様の432型でないLエンジンのタイプでした。この本来ごく普通の車であるはずの S30型Zの1台がなぜか特別の性能を発揮し、それに魅せられた天才チューナーたちの手によって ますます強力な戦闘力を持つようになるのがこの漫画のメインストーリーで、 ライバルのブラックバードポルシェと、極初期に出てきたフェラーリのテスタロッサ以外は、 この悪魔のZとバトルを繰り広げる車たちは国産のチューンナップ車揃いでした。
 1995年に始まった『頭文字D』になると、主人公の愛車はハチロクと呼ばれるスプリンタートレノで、 小型で非力なこの車を勝たせるためにバトルを峠の下り専門にするなど設定の妙が見られますが、 この「非力な車が主役を張る」カッコ良さは、現実でのフォローアーを多数生み、 一気にこのハチロクの中古相場は跳ね上がってしまいました(笑)。
この国産車中心の動きは2001年公開の映画『ワイルドスピード』により盛り上がった スポーツコンパクト(スポコン)車ブームとも結びつき、国産チューニングマシンは もはやスーパーカーが買えないからじゃない、スーパーカーをブッチぎる車として 認知されるようにもなりましたが、不景気が絶好持続中で国産車の維持すらも難しい状況と なりつつあるここ5年あまりは、どうせ憧れるならやっぱスーパーカーとばかり、2004年からは 『カウンタック』・『彼女のカレラ』というマンガが相次いで青年誌でスタートし人気を集めています。
 これら、スーパーカーブームの落とし子とも言える作品たちの劇中車は、 当然キャラクターミニカー界でも大きな勢力を持っていますので、 今回はその中から、作品は『湾岸ミッドナイト』、車は主役の「悪魔のZ」を取り上げます。
 このイラストはプラモデルの箱絵だと思いますが、同じ国産チューンドカーを扱う漫画でも 『頭文字D』がバトルそのものの迫力をメインに扱うのに対し、『湾岸ミッドナイト』は ドライバーやチューナーたちの考え方や生き方にスポットを当てた作風で、 時に雄弁に語られる登場人物たちの車に対する「哲学」は「ポエム」と呼ばれ愛されています。 そのため主要登場人物のキャラの立ち方はハンパではなく、巻数が進み出番が積み重なっていった キャラクターたちはまるで生きているように印象も濃くなっていきますが、 それと反比例するかのように、作者の楠みちはるの画風の変化によって、 どのキャラも同じような顔立ちになっていってるのは笑えます。 それから主人公のアキオの印象だけが薄いというか、透明なのもこの作品の特徴で、 「悪魔のZに初めて本当に認められたドライバー」という基本的な設定以外は 完全な狂言回しに甘んじています。
 今回お見せしているミニカーはトミカダンディのZ432を改造したモノです。悪魔のZのミニカーは アオシマから1/36というハンパなスケールのモノが出ていたのですが、ここはやはり標準スケールで 欲しかったのでそれは買わずに、ダンディの改造で作り上げることにしました。 最初の方に書いたとおり、悪魔のZは432ではないんですが、オーバーフェンダー付きのために、 432のミニカーをベース車に使っています。そしてフロント下に装着されているのが、 「悪魔のZ」の最大の特徴であるエアロパーツです。
 Zの空力パーツと言えば、240ZGに装備されてるZノーズが有名ですが、 悪魔のZにはそれはありません。マンガでは一度だけ付けたことはあったんですが、 やはり不評だったのかすぐに外しています(笑)。 このミニカーのパーツはプラ板削り出しの完全スクラッチビルドですが、このエアロ部分、 実は連載時期によって微妙に形が違っており、「改良した」と劇中で語られている訳ではないので、 たぶん作者の気まぐれだと思います(爆笑)。色も本来はミッドナイトブルーのはずなんですが、 最近のはどう見ても少し緑ががってるんでそのイメージで塗っています。
単行本も40巻を越え、そろそろ国産車で戦うべき車が払底しだしたこの『湾岸ミッドナイト』でしたが、 はっきりと終了とは唱っていないものの、いきなり副題として「C1ランナー」というフレーズが付き、 読者を驚かせましたが、新登場のキャラがかつての作者のマンガ『TOKYOブローカー』に出てきた ノブという小僧っぽいことが指摘され、意外な作品のクロスオーバーにさらに注目を集めています。 このノブがどう作品に絡んでいくのか? さらには今のところまだ出てきていないアキオは この新章には登場するのか? 謎は謎を呼び、しばらくは目が離せそうにありません。
※いつもコメント頂いてる方にお詫びとお知らせです。 特殊な趣味を扱うこのブログですが、それでも一日に3~5件くらいのスパム書き込みがありまして、 これまではお知らせメールが来しだい、手動で削除していたんですが、 その際のウッカリミスで、せっかく書いて頂いたコメントを削除してしまったことが何回がありました。 そこでそういうスパムを防ぐために、コメント書き込む際の認証システムを導入しましたので、 お手間かとは思いますが、どうか御協力お願いします。m(_ _)m
スポンサーサイト
テーマ:ホビー・おもちゃ - ジャンル:趣味・実用
|