
今日の御題はひさびさのアンダーソン物で、『キャプテンスカーレット』からパトロール車です。 『サンダーバード』の大ヒットで、予算も増えたアンダーソンが大人向けの本格SFをと満を持して 制作したこの作品では、等身が人間に近くなった人形に合わせ、メカもシャープさを増しています。

今日取り上げるパトロール車は、キャプテンスカーレットの愛車として登場する頻度も高く、 当時のレーシングカーをより鋭角化したようなデザインが子供にも受け入れやすかったので、 高い人気を集めました。メジャーキャラゆえ、たぶんリンクしている方々とネタ被ってると思うので、その場合はどうか御指摘下さい(笑)。
この車、正式名称はスペクトラム・サルーン・カーと表記される場合と、 スペクトラム・パトロール・カーと表記される場合の2通りがありますが、 本放送時の日本名が「パトロール車」だったことから考えると、 当時はパトロール・カーという表記の方が主流だったのかも知れません……。

メインでお見せしているのは、本放送当時、イギリスのディンキーから発売された 標準スケールのミニカーで、スペクトラム・パトロール・カー表記。 全長は約11.7cmで、一緒のブルバックゼンマイが内蔵され勢いを付けると走り出す仕組みです。さすがは本国の当時物で、質感もプロポーションもほぼ完璧で、あたかも撮影用ミニチュアを 見ているような感じすらします…。ただ、これは当時1968年当時としてはたいへん高価で、 買ってもらえたのは極々一部の恵まれた子供だけで、当時の大半の子供は、 イマイから発売された大小各種のプラモデルでガマンしたものでした。

そのイマイのプラモデルにしたってセールス的には不調で、イマイ倒産の原因の一つとも なってしまいます。そのためイマイ復活後もなかなか再販がかからず、 ようやく1983年以降に再販された時はこういう共通イメージの箱絵になりました。 このパトロール車は、ゼンマイ走行のやや大型(1/24相当?)のキットです。 この時は一通りのメカが出たので、少ないお小遣いをやりくりして買い集めた人も 少なくないと思いますし、そのうちの一部は今もアオシマに金型が継承され 手に入れることができるのはウレシイ限りですね…。

1970年代中盤頃には、トミカサイズのエーダイのグリップキャラクターからも このパトロール車は出ています。小スケールながら御覧の通りプロポーションも良く、 ドアや、リアの透明のフードも開閉するなど、ギミック的には優れたモノでした。 その他には、1993年にVivid社から一連のダイキャスト製のメカが出た時にも パトロール車は小スケールでラインナップされてましたね…。

タイトルに使った一節は日本語版主題歌の歌い出しで、少年合唱団の軽やかな歌声で始まる この番組は、そのイメージ通りの、ハイスピードなメカアクションになるかと思われたんですが、 どっこい、いきなり主人公が死んでしまうというダークな展開で、以降も決して 明るい調子にはなり切れませんでした…。
実はアンダーソンが作りあげる世界観は、この後に創り上げる諸作品を見ても解るように、 どこかに苦みを感じさせる作風のモノが多い訳で、となると『サンダーバード』というのは 偶然が創り上げた産物なのだったかも知れないと思うと、いろいろ複雑な思いすらします…。 「不死身のエース」という、ヒーローとしては最高の要素をあくまで暗く描いた この『キャプテンスカーレット』、ひょっとするとその「スカーレット」というのも 「血の赤」を意味する言葉だったのかも知れませんね……。
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