
こう書くと西城秀樹のあの名曲を思い出す人も多いと思いますが、今日の御題はそっちではなくて、 1960年代にレース界で大活躍したレーシングチームのローラのお話です。 覆面えるさんさんのこちらと、今回は勝手じゃなくて御依頼を受けての連動です(笑)。
ローラ(LOLA)はイギリスのレーシングカーコンストラクターで、 1961年にエリック・ブロードレイがイギリスのハンティントンに設立しました。 このローラというのはブロードレイの奥さんが愛唱していた歌に出てくる妖精の名前だそうです。
ローラが国際的な脚光を浴びるのはフォードと組んだローラGTの開発によりますが、 そのクルマは、そのままあのフォードGTへと発展していきます。 この一連のGTシリーズの開発をフォードが目論んだのは自社ブランドにスポーティーな イメージを植え付けるためでしたが、実用車一辺倒だった彼らにはそのノウハウがありません。 そこでまずフェラーリ買収を企てますが見事に失敗。そこで次にローラに目を付け、 資金難にあえぐブロードレイとの協力体制を敷いたわけです。
ブロードレイがフォードのバックアップによる潤沢な資金を使って開発した ローラGTやフォードGTから得た様々な経験を、今度は自身のクルマの開発に フィードバックさせ1967年に完成させたのがローラT70です。
この当時のライバル車がまだ鋼管スペースフレームのシャシーを用いているのに対し、 ローラT70は既にアルミ製ツインチューブ・モノコックシャシーを採用していたため、 車体重量の軽減を達成し、ねじれに対する剛性も十分に考慮されていました。 そこにフォードの4.7リッターや5.3リッターの他に、トラコ社でチューンアップした オールズモビルの5リッターやシボレーの5.9リッター等の多様なエンジンを装備することで、 抜群の戦闘力を持つようになったこのマシンは、しばらくの熟成の期間を経て ローラマークIIIBへと発展した時点で、1969年のデイトナ24時間レースで 本命と目されていたポルシェ908やフォードGT40が次々とリタイヤしていく中、 自らもトラブルに悩まされながらも力走し、見事に優勝を果たしたのでした。

またこのロ-ラT70は日本GPへもプライベーターのマシンとして参加し、 結果こそあまり残せていませんが、その雄志をファンへと見せつけてくれました。
なお、ローラは今も健在で、なんとこのT70もオーダーがあれば再生産が可能とのこと。 T70の歴史は、1971年にトップクラスのスポーツカーレースから姿を消したあたりまでだと 考えるのが普通ですが、実はローラ側にしてみれば、この車の生産中止を宣言したことはなく 単にオーダーが来なかっただけということらしいんですよ(笑)。 現に過去に生産した車体の補修パーツのオーダーがあればどんなパーツでも生産に応じたそうで、 このあたりほとんど手作りに近いレースカーコンストラクターならでの柔軟さでしょうね。
さて、このローラT70ですが、映像世界ではどう位置づけられるかというと、 有名どころでは2本の映画に出てきます。 1本は『栄光のルマン』で、当然、ここではレーシングカーのローラーT70そのものとして登場。
それからもう1本は『THX1138』というジョージ・ルーカスの商業映画デビュー作です。

この映画は1971年度の作品ですが、この頃のSF映画によくあったアンチユートピアもので、 徹底的に管理され、人間味が皆無になってしまった未来世界から、 主人公であるTHX1138(名前が完全な管理番号化)が脱出しようとするストーリーでした。

この映画の中では未来のパトカーとしてカスタムされた車体が登場しますが、 主人公が逃亡するために奪取し、警官のバイク軍団とチェイスを繰り広げるシーンがあります。 この映画が作られた1971年は、ちょうどT70が第一線を退いた時期と重なっているので、 中古の車体が手に入れやすかったんでしょう。もったいなくもハデにクラッシュしてます(笑)。

このミニカーはホットウィールの最初期、2年目の1969年に発売されたモノです。 実測72mmのレギュラーサイズで車輪がいわゆる「レッドライン」になってます。 ゼッケンは最近テキトーにつけたもので、それと色をちょっとリタッチした以外はオリジナルです。

この頃はホットホイールと呼ばれてましたが、エンジンが再現されているのが特徴です。 これは当時買ったものですが、単品で買ったのではなく、スーパーチャージャー・セットと ロッドランナー・スピードウェイセットを持っていて、そのどちらかに付いていたモノです。

この2つは、オレンジ色のホットホイール用コースでミニカーを走らせるための加速器で、 上の図版のスーパーチャージャーの方が電動で回る2つのローラーの間に ミニカーをくぐらせて加速する仕組みで、

こちらのロッドランナーの方はゴム仕掛けの大型ピストルみたいなもんで、ミニカーが一定の速度で その中を通ると掛け金が外れ、ゴムが伸びる力で勢い良くミニカーを前方に押し出す仕組みでした。 図版のモノは二車線ですが、私が買ったのは一車線仕様でした。二車線のは見たことないから、 当時日本に入ってなかったんじゃないでしょうか?
スーパーチャジャーは横のレバーで加速度が調節できたりして便利だったんですが、 電池を消耗するのが難点で、ロッドランナーはゴム仕掛けなのでその点はいいんですが、 クルマが通過するたびにガチャリとレバーをおす必要があり落ち着かないのと、 複数のクルマが続けて中を通ると詰まったりはじき飛ばしたりするのが難点でした。
定価ではスーパーチャージャーが2900円、ロッドランナーが2300円とかなり高い商品でしたが、 確か前者は2300円程度でクリスマスプレゼントとして買ってもらって、 後者はしばらく経ってから1500円になってたので自分のお小遣いで買った記憶があるので、 やはり面倒なロッドランナーの方はあまり売れなかったのかもしれません。 ちなみにもう一台の付属ミニカーはロールスロイスのシルバーシャドウで、これもレッドラインでした。
この2つのサーキットセットを連結し超ロングコースを作って、 そこをホットホイールだけでなく、当時持っていたミニカーの中から、 この2つの加速器をくぐれるサイズのミニカーを選んでビュンビュン走らせるのが、 当時、小学校3年生くらいから中学くらいまでのお気に入りの遊びでした。 これが中学でビッグレーシングにグレードアップし、高校で電動ラジコンに移行するという、 考えてみれば、私の少年期は常に走らせるクルマのオモチャと共にあったのでした(笑)。 今日でもこうやって手元に残っている傷だらけの、ローラを始めとするミニカーたちは その頃へと私を運んでくれるタイプカプセルなのです…。
では、最後に、そのタイムカプセルたちをお目にかけましょう。 後列左から2番目が、もう一つの付属品のロールスルイスで、 その横は70年発売の同じくホットホイールのベンツC111です。 あとのメンツはきっとまたどなたかが解説して下さるでしょう(笑)。 画像が大きいのでクリックして御覧下さい。

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