
ケン・アカバにボンベイブラッドを届けるのに、後半はタイレルP34が活躍したのは 前回書きましたが、前半にエンジンが焼き付くまで走ったのが、今日の御題である マリオ・アンドレッティが運転するマルボロ・マクラーレンM-23です。 ミニカーは安く手に入ったので、そのマイナーチェンジ版で この『赤いペガサス』シリーズ後半で登場のM26で代用します(笑)。
この年のマリオはロータスに属していたんですが、どうして彼がマクラーレンを走らすことに なったかと言うと、この日は悪天候で自分のマシンの到着が遅れ、たまたま空港にいたマリオに 血清の空港からの運搬をSVEチーム員が要請したんですが、到着していたのが マクラーレンだけだったんですね。そこでケンを心配して病院に駆けつけていた 本来のドライバーであるジェームズ・ハントとの間に電話で話がまとまり、 マリオがマクラーレンを駆ることになった訳です…。

このスリムなハンサムガイがハントですが、ライバルに自分のマシンを貸すことは レースの駆け引き上著しく不利だし、公道走行で破損する可能性も大なのに、 瞬時の逡巡だけでOKを出したハントはさすが前年度のチャンピオンを獲得した 超一流のF1ドライバーですね。
 (小学館刊少年サンデーコミックス版単行本2巻P90~91より引用)
その心意気に燃えたマリオも慣れないマシンを最高に乗りこなし、ノロノロ走るトレーラーの 荷台をジャンプしたり、当時最高速の市販車だったランボルギーニ・カウンタックLP500Sを ブッチぎる等の大健闘を見せますが、それでもF1マシンにとっては低速すぎ、 結局エンジン不調で止まってしまったのは皮肉です。 特に「スーパーカーの代名詞であるカウンタックをブッチぎるスピードでもF1には遅い」 というこの描写はショッキングで、『サーキットの狼』に飽き始めていた スーパーカー小僧たちの一部を『赤いペガサス』に転ばさせるいいきっかけになりました(笑)。 なぜ一部かと言うと、この時期のケン・アカバの性格がエキセントリックで、 自己中心的な振る舞いも目立ったからで、この性格は連載が進むに連れて 徐々に緩和されていきますが、初出の少年サンデーコミックスの単行本では 2巻収録のこのエピソードの頃は、ケンを嫌う人も少なくありませんでした…。

さて、ケンも回復し、ブラジルGPでのジェームズ・ハントのマクラーレンとの バトルとなりますが、焼き付いたエンジンを取り替えたマクラーレンは 調子が上がらかったため、メカニックから「プラクティスタイムを少し譲って欲しい」 との要請がありますが、ケンはこれを断ります。
この要請はハントのあずかり知らぬことで、知ったハントは頼んだスタッフを 叱っていたので、ドライバー同士には確執は無いと思われますが、 このケンの態度は当時も今も、私には自己中に感じられますねぇ…。 自分と同じ血を持つ妹のユキを、本人の望みとは言え「血液銀行」扱いしたりもする ケンなので、これぐらいは当然という感じもしないではないのですが…。
そういう理由でブラジルGTでは立ち上がり今ひとつ精細を欠いたマクラーレンですが、 ケンとブラジルの英雄フィッティパルディが激しくトップ争いのデッドヒートを 繰り広げる中を耐え抜き、最終的には2位に付けるという健闘を見せただけでなく、 この後も長く作品には登場し、SVEの新型マシンであるSV-01との熱いバトルにも 一枚噛んでくるのでありました。

お見せしているミニカーは、1970年代終盤当時に発売されたエーダイグリップの テクニカ43シリーズのNO4です。キャラクター物には強いエーダイですが、 これは特にキャラクター物とは唱わないシリーズで、当時のF1カーを多数発売していました。 スケールは1/43で、後ろのウイングまで計って約10cmの大きさになり、

この実車の形と独特のマルボロカラーを、当時にしてはよく表現したミニカーだと思います。
プレイボーイで女性の噂が絶えなかったというジェームズ・ハントですが、 このマクラーレンのスポンサーであるMARLBOROというブランドネームが、 Man Always Remember Love Because Of Romance Only. (人は、本当の愛をみつけるために恋をする)の略だとの通説があることから考えると、 まさにマルボロに乗るために生まれてきたようなレーサーであり、私たちの印象にも強く残っています。
※ドルフィンさんの御指摘により、トレーラージャンプしたのはM26じゃなくて その1つ前のM23だということが解ったので原稿を一部書き直させていただきました。 不確かな情報を流しましたことをお詫びさせていただきます。m(_ _)m
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