今日の内容は戦車の歴史の自分用おさらいなので、ミニカーの写真は後でお見せします。 どうかまたおつきあい下さい。m(_ _)m
世界で最初に戦車を実用化したのはイギリスで、その1916年に登場した車体は
 マーク1と呼ばれ、このように菱形をしていました。 まぁ要はキャタピラがそのまま動き出したみたいなもので、攻撃兵器よりは、 歩兵の支援をするための移動要塞的な役割が大きかったそうです。 戦車のことを「TANK」と呼ぶことがあるのも、この秘密兵器が敵に漏れないための秘密コードとして、 形が似ている「水槽=タンク」と呼んでいたことの名残なんだそうです。 こういう形なもんで最初の頃の武装は、中にいる兵隊が機関銃を撃つのがせいぜいでしょうが、 それでもこんなバケモノがいきなり襲ってくる状態に置かれた敵兵士はパニックったでしょうねぇ…。
やがて武装が強化され、フランス製のルノーFT-17という軽戦車で初めて、 360度回転可能な砲塔が付きました。
 ここに至って、ようやく今の戦車の形が整った訳ですが、まだまだ車体も、砲も貧弱で、 なおかつ車高は高く装甲も薄いという、オモチャチックな感じが強い戦車ですよね。
そして第二次大戦で戦車の重要度が増すにつれ、このむき出しのキャタピラが車体と一体化し、 砲塔の突出が小さくなり、砲が強化され、装甲も厚くなっていく訳ですが、 元祖であるイギリスの戦車は、元々の頑固な気質もあったせいか、なかなか進化しませんでした。
 そんなイギリスが第2次大戦での主力戦車として開発したのがこのチャ-チルです。 初めてこの戦車の写真を見たときは「なんてカッコ悪いんだ」と思いましたが、 戦車の歴史を勉強していくうちに、実はこのスタイルは戦車の原型のスタイルを保っていた ということに気づき、なかなか味があるように思えてきました。ヽ(´ー`)ノ
 このチャーチル戦車、設計され試作された時点で、開発陣はすでに時代遅れなのを悟っていた らしいんですが、時の首相チャーチルが「この戦車は素晴らしいから最優先で量産しろ!」と
いらんこと言った 檄を飛ばしたため、まんまとイギリス主力戦車の座を射止め、 ついでに名前もあやかってチャーチルにしちゃったというチャッカリぶりを見せたとのことです(笑)。
その首相の憶えもめでたいチャーチル戦車は、初陣では30両が出動しましたが、 うち27両が各坐・放棄されるという無様な結果に終わっています。しかし、敵砲火によって 撃破されたのはわずか2両に過ぎず、防御力の高さだけは立証されたとのことです(笑)。 この重装甲は良くも悪しくもチャーチルの個性となり、そのため時速も20km程度と、 敵の戦車と渡り合うにはあまりに鈍足なんですが、歩兵戦車という、 あくまでも歩兵の支援兵器ならこれで充分と頑固なジョンブルどもは考えていたようです。 でも、その考えがすでに時代遅れで、「歩兵の支援なら充分」というより 「歩兵の支援にしか使えない」と言うべきなのには気づかなかったようですが(爆笑)。
そのため、陸戦の主体が戦車同士のガチンコバトルになってからは、 鈍足で火力もお粗末なチャーチルは脇役にしかなりえず、 アメリカから借りたシャーマンが事実上のイギリスの主力戦車となってしまいました。 しかしこのチャーチルにも取り柄はあって、エンジンの性能がやたらトルクフルだったことと、 この巨大なキャタピラのおかげで登坂能力だけはやたら高かったようで、 量産が進んで機械的にも成熟してからは、通常の戦車なら立ち往生するような 塹壕だらけの戦場でも見事走破し、戦況を有利に導くことも少なくなかったようです。
 お見せしているのはお馴染みのデル・プラド流れ「バトルフィールド」の歩兵戦車チャーチルMk7です。 コンビニ流れの方で不人気車なので200円でした(笑)。1/60のレジンキャスト製で約12cmです。 造形的にはいつものダサチックですが、チャーチルの場合、それでもいいような気もします。 つか、どっちが前だか解らないほど砲身チッチャ!(笑)
 このチャーチルは当然、ノルマンディー上陸作戦にも参加しています。 実はさんざんな結果だった初陣というのは、このD-dayに先駆けて行われた上陸作戦である ディエップ上陸作戦だったので、そのリベンジという意味もあったでしょうし、 足下は砂地で、なおかつ歩兵の援護が主目的のこの作戦は、 チャーチルにとっては一世一代の晴れの舞台みたいなもんで、通常の車体の他にも、 浜辺でも機動力が落ちないようにカーペットを敷く装置を搭載したボビンタイプが出動したのも、 先の作戦の教訓が生きていたのかもしれません。
ノルマンディー上陸作戦といえば『史上最大の作戦』なんで、あの映画を観れば チャーチルが活躍する場面を見られるだろうと思ったんですが、 アップになるのはシャーマンばかりでなぜか出てきません。
それで遠景をいろいろ捜してみたら、
 このシーン、下の方の右手に写ってる車体はかなりチャーチルっぽいです。 その後ろも長細いシルエットですが、先が丸く尖っているので、水陸両用戦車のどれかでしょうか?
遠景ではこうして写ってるのに、アップでは出てこないのはなぜかな~? などと考えつつ、 さらに細かく画面を見てみたら、どうやらその理由が解ってきました。 ドイツ軍の飛行機が上空から攻撃して来るシーンで一瞬ですが、 長細い戦車のキャタピラの影からタイヤがチラッと見え隠れしてるじゃありませんか! つうことはこの辺の長細い戦車群はトラクターか何かにハリボテ被せた撮影用ダミーなんでしょうね。 この『史上最大の作戦』は当時のお金で40億かけた超大作だから、予算の都合とは考えにくいんで、 たぶんこの映画が撮影された1960年頃には、ちゃんと動くチャーチルが無かったんでしょうねぇ…。 あ、それから、この画面、見てお解りと思いますが、後から発表されたカラーライズ版のです。 あまり評判が良くないカラー版ですが、砂浜と戦車がはっきり区別できるのでこっちにしました(笑)。
 かつてはこうやってビクターエンタテインメントから日本版ビデオも出てましたが、 モノクロ版しかDVDにはなってないみたいです……。
D-dayを扱った映画には『プライベート・ライアン』もありますが、アレはスプラッタ描写がきついんで じっくり見る気にならないんですよ…。どうですか、あれにはチャーチル出てきましたか? そういえばあの映画の「プライベート」って「私的な」って意味だと思ってて、 ライアンを救うために私的に傭兵を雇う話かと思ってたら、なんと「二等兵」って意味なんですってね! なら素直に「ライアン二等兵を救え!」とか「ライアン二等兵救出作戦」等の邦題にすればいいのに…。
この映画のちょっと後に日本でビデオ公開された作品があって、 アフォな宣伝マンがマネッコで「プライベート・ソルジャー」なんてタイトルを付けちゃったという お気の毒ぶりでしたが、「二等兵兵士」って、もはや意味不明でんがな(w
 こっちは原題は「When Trumpets Fade」で、「トランペットが鳴りやむ時」くらいの意味です。 その「(無茶な命令に従って突撃していく)軍曹の吹き鳴らす進軍ラッパが聞こえなくなる」ってのが 何を表すか考えたらとても恐ろしいタイトルな訳で、とてもこんなあやかり邦題をつけていいような、 低予算・無内容のアホカス作品じゃありません…。充分に観る価値のある作品なんだから、 ちゃんと訳して『進軍ラッパはもう聞こえない』くらいのタイトルで、正当派反戦映画として売った方が 遙かによかった気がします…。だってこれ、『プライベートライアン』よりこっちの方がいい、 という口コミレビューもたくさんある程なんですから…。
一時期、映画の邦題に日本語を使わずに原題のカタカナ読みだらけになったことがあったけど、 映像作品の宣伝に携わる人は、自分の売ろうとする作品がどういうものなのかはちゃんと理解して、 たとえ売らなきゃいけないのがクズ作品の場合でも、クズもといそれほどでもない戦車を 身びいきして成熟度を上げさせ、ついには長持ちで使える戦車に仕立て上げさせた チャーチルさんほどの粘りと根性を持って、仕事に携わってほしいものです。
宣伝のチカラでクズ映画がヒットした例も、今だってそこらじゅうにあるんだし、 日本語の持つ言葉の力、「言霊」はけっして小さいものではありませんぞ!(笑)
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