 今日の御題はPonys41さんのこちらとの勝手連で、クロード・ルルーシュ監督を取り上げます。 クロード・ルルーシュ監督は実はカーマニアでした。彼の出世作である『男と女』の男を レーサーとして描いたのは、まさに監督自身の経験と欲望を反映させたものだったと思われますが、 そのルルーシュ監督が『男と女』の制作最中に撮ったという『ランデブー』という短編映画があります。 朝靄のパリをひたすらクルマで吹っ飛ばす映画で、最後を除き道路ナメの画面しか写らないために、 劇中の詳しい全く状況は解りません。わずか9分程度の短編なんで、 あれこれ語るより御覧いただいた方が早いと思うので、どうか御覧下さい。
この映像に関してはかつてはずっと「走らせているクルマはフェラーリ275GTBで、 運転してるのはモーリス・トランティニアンという1955年のモナコGPでフェラーリに乗り 優勝したこともあるトップランクのF1ドライバーで、無許可だったので撮影後に逮捕された」と 伝えられてきました。なるほどあの軽快なフェラーリミュージックに乗せてカッ跳ぶ神業は モノホンのプロドライバーならではで「映像で見れる至高の運転体験」との折り紙付きだったのです。 こちらのジャケット写真でも赤いフェラーリを思わせるクルマが描かれてますよね。

ところが近年、その折り紙がクシャクシャに握りつぶされてしまったのです。 それもルルーシュ監督本人の手で!?
それはどういうことかと言うと、今度はこちらの映像の最初の2~3分あたりまでを御覧下さい。
フランス語なんで何を言ってるのかはよく解りませんが、それでも、この映像の中で 「撮影に使ったクルマはベンツとされていること」は解ります。
さらにnetで調べてみると、どうもこの映像ではルル-シュ監督は、 運転してるのはプロドライバーなんかではなく自分だと主張してるそうなんですよ……。 つまり「こんなこと誰にも頼めないから自分でベンツ450SELを運転して撮った映像に、 音はフェラーリのを上から被せた」ということらしいんです……。
でも、これホントかなぁ? あんな壮絶な運転テクニック、たかだかカーマニアの駆け出し映画監督が 持ってると思います? 最後に映し出されるドライバーも顔がハッキリ見えないしなぁ…。 それから音はアフレコだということだけど、エンジン音を変えるって事は、オールアフレコだから、 その他の効果音も全部後から入れることになりますが、それにしては仕事が細かすぎますよ。
 ヘッドフォンでジックリと音を聞き込んでみたけど、何カ所かあるハトが乱舞するシーンには ちゃんと羽ばたき入れてるし、
 途中、トンネルを抜けたり細い道で両脇に高い建物が密集してる所では、 エンジン音が反響してこもったような音になってるのもちゃんと拾ってます。
ただ他のクルマのクラクションがほとんど聞こえないってのは変ですね…。 あれだけの危険走行をしてれば、もっと鳴らされまくるでしょ? でもこの音効さん、映画が始まってエンジン音が響く前に、胸の高鳴りを表すような 動悸の音を入れたりして実にイイ仕事をしてはいるんですよねぇ…。 だからクラクションの音くらい入れられたはずだから、実際の走行の時も浴びなかったから、 わざと入れなかったのかも?
この映像、他にも奇妙な点はいくつもあります。まずは画面がやけに安定しているところ。 この時代のフェラーリと言えば、レーシングカーに保安部品を取り付けたようなもので、 ここまで安定した走行性能を持ってたでしょうか? もっともこの映画で使われたとされる275GTBは 最初から一般車として設計されかなり快適に運転できたそうですが、それにしてもねぇ…。
 これがもしベンツを使ったのなら、御自慢のハイドロニューマチックサスペンションの効果が 抜群に証明されたってことになりますね(笑)。
 あと、フェラーリ275GTBって前がとんがってるから、こんな低い地点にカメラを取り付けるのは けっこう大変だと思うんですよ…。ボディに穴は開けたくないだろうから、 丸く開いたグリル周辺にしか撮り付け金具を仕込めないだろうしなぁ……。
まぁ今頃になってまだこんなこと言ってるところから考えても、 これ以上の「真相」を明かすことは無いでしょうね。
 ルルーシュ監督って、『男と女』モチーフの映画を何本も撮ってて、 1996年に撮ったその最新版の邦題は『男と女 嘘つきな関係』っていうくらいなんで、 とても一筋縄でいくような相手じゃないだろうし(笑)。
 ちなみに『ランデブー』の最後で待ってる女性は1968年のミスワールドのスウェ-デン代表の Gunilla Friden で、当時のルルーシュ監督の恋人で、後に子供も設けたほどの仲の人だとか。 つまりこの『ランデブー』も「男と女」モチーフ映画の1本だったってことですね(笑)。
この映画、『男と女』の撮影最中に思い付いたってのが本当なら、 最初は主人公のレーサーとしての描写の一環として撮影するつもりだったんじゃないでしょうか? 上映時間の9分弱ってのも偶然じゃなく意図的なものだと思われ、 つまりこれ、フィルムの1巻分の時間なんです。 当時はビデオ撮りはしないんで、連続して撮れるのは最長10分だったんですね。
 このメイキング写真と称する1枚では思い切りベンツだけど、これがフェイクの可能性もある訳で 盲信するのは危険ですが、まぁでも、ベンツにせよフェラーリにせよ、 この写真のようにカメラを車体の前に固定して撮影している以上、フィルムチェンジできないから、 最長10分で全てを終わらす必要があることには変わりありません……。
この映画、最初がイキナリ始まってるのも、走らせ始めてから1分ソコソコの時間しかないんで、 いろいろ見苦しいシーンをカットしたからじゃないんでしょうか? 本来ならこういうコンセプトで暗がりの中で心臓の鼓動を響かせてるって始まりから考えて、 映画の冒頭には
駆け込んでくる男の足音、 荒々しくドアを開けて乗り込む音と振動する車、 エンジンをかける音、 ホイールスピンを発して急発進するシ-ン
なんかがあった方がより盛り上がりますよね。ヽ(´ー`)ノ
でもそのあたりやってたら10分を越えるんで泣く泣くカットなんでしょうね。 実際にはトンネルの前あたりで乗り込んでエンジンかけて、いつでも出発できる状態で、 誰かにカメラのスイッチを入れさせてスタートし、それから1分以内に高速度に達するという、 けっこうギリギリのことをやってる訳ですが、 こんなこと、シロートのカーマニアにできると思いますか?
以上のことを総合的に考えると、ベンツを使ったのは本当である可能性が強いけど、 運転してたのはやはり誰かプロのドライバーだったんじゃないでしょうかねぇ? 伝えられてきたモーリス・トランティニアンは、『男と女』の主演俳優の ジャン・ルイ・トランティニアンの伯父さんなんで、その縁で頼むこともできたような気もするし、 あるいはジャン・ルイ自身もレーサーでもあるんで、彼がハンドルを握ったのかも?(笑)。
それから、いかにもブッツケ本番で走ってるように見えるけど、間違いなく入念にプラニングしてますよ。 時間は10分以内、もちろん事故る訳にはいけない、撮り直しはまずできない(やったら捕まるw)、 それで最終的にはGunillaの待ってる階段の所に着かないといけない訳だから、 まずは地図と首っ引きで大まかなルートを決めて、通常スピードで運転しながら何度も下見をして、 それで本番に臨んだんでしょうね。途中通行人が道の真ん中をゆっくりと歩いて、ほとんど歩く速度 にまで車速が落ちてるシーンがありますが、あれなんか実にヒヤヒヤもんだったことでしょう! 本当のデートなら、まぁよっぽど性格悪い女でもない限りはあと5分くらいなら待ってくれるでしょうが、 この場合、15分かかったら途中でフィルムが尽き、ランデブーできないで終わりますから┐(´ー`)┌
今回のミニカーは『男と女』つながりなんで、まず、こんな風にあの映画にも登場するフォードGTです。
 お見せしてる個体はマッチボックスの1970年前後の品をリペイントしたモノで、 以前『マッハGoGoGo』の時にチラッと登場してる、マイファーストミニカーの1台ですヽ(´ー`)ノ 元は映画に近い白い色だったんだけど、ホットホイール用のコースで走らせ過ぎて ボロボロになったんで、この色にリペイントしました。 ちなみにこの色は1966年のデイトナ24時間レースでフェラーリを完全に破って、 1~3位を独占した時のカラーリングに近くしています。
それから疑惑の2台であるフェラーリとベンツですが、ベンツはコーギージュニアの280SLで、 タテ目の世代なんで『ランデブー』に使われたクルマとは別物ですが(゚ε゚)キニシナイ!!(笑)。 確か、アイアンサイドのミニカーを買った際、抱き合わせで付いてきた個体をレストアしたモノです。
 フェラーリはこの記事のために購入したダイドーコーヒーのオマケで、 275GTBの手頃なミニカーが小スケール(全長約7cm)のコレしか見つからなかったので、 急きょ、他の2台も加えての紹介となったのはナイショです(笑)。 このダイドーのミニカーは2003年3月初旬~6月20日のキャンペーン時のモノで 完成品じゃなく、
 こういう台紙付きのキットとして配布されていたようで、私の近辺のコンビニでは こういったブツは瞬殺されてしまうので全然見たこともありませんが、 ミニカー自体には見覚えがあったので、よくよく記憶をたどってみると、 そうこれも、ダッシュアルファのジャンク袋の中に入っていたのでした!
では、わざわざ買ったのにダブっちゃったのか~! というとそうではなく、 基本的に古いフェラーリに興味無いので、遊びに来たクルマ好きの友人に進呈してたんでした(笑) いや~、この実物見るまですっかり忘れてましたよ。 ランデブーにはいつも、思わぬ驚きが付きものって訳でしょうかね?(爆
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