今日はひなまつりなんで、今日は女性にちなんだお話をしましょう…。 私が子供だった昭和40年代頃は子供向けの娯楽が今ほど多くなかったので、 外で遊ぶことと本を読むことの比重がとても大きかった時代でした。 私の場合は小学校・中学校が家から遠いのに加え、近所に同じ学年の子供がいなかったし、 共稼ぎの鍵っ子で家にも誰もいなかったので、必然的に本を読んで時間を過ごす時間が 多くなりました。当時の小学生は、まず親や教師からは「世界名作全集」の類を薦められ、 それを読み終わる、あるいは読んでいるフリをしつつ時間を作っては 自分の好きな本を探したものですが、その名作全集の中にも気に入る作品はあって 『アラビアンナイト』なんかはその中でも特別の存在で、 異国で繰り広げられる魔法と怪物の物語に心躍らせたものでした。 ということで今日の御題は『アラビアンナイト』です。気分に浸るために、その音楽として 一番有名なリムスキー・コルサコフのこの曲を聴きながら御覧下さい。 まずは第1楽章「海とシンドバッドの船」です。 『アラビアンナイト』は子供向けのお話では単にいろんなエピソードが列記されてるだけですが、 この物語は実は、妻の不貞で女性不信に陥り、夜毎に処女を求め、事が終わった後は 殺してしまうアラビアの王子の悪行を阻止するために、大臣の娘シェエラザードが 自ら志願し伽を務め、枕話に彼女の知る古来の伝説を話して聞かせたところ、 そのあまりの面白さと、結末を話さずにその前で話を打ち切るシェラザードの テクニックにハマッた王子は、殺さずに次の夜も彼女を求めることを続け、 ついには千一夜にも及んだという筋立てになっています。 たかだか不倫程度でもの凄いことをするなぁと思ってたんですが、 その妃がやったのが「二十人の男奴隷と二十人の女奴隷を相手に痴態の限りを尽してた」 ってんだから、これは一族の恥だし、まだ若い王子が半狂乱になるのも無理ないですね…('A`) 自分ならもう女を見るのもイヤになるでしょうが、 それでも一晩一殺を3年続け、シェラザードとも千一夜を過ごしたんだから、 夜伽ならぬ御伽話とは言え砂漠の王族は逞しいですなぁ……_| ̄|○ 「アリババと40人の盗賊」「アラジンと魔法のランプ」「船乗りシンドバッドの冒険」等々、 数々の刺激的なモチーフを含む『アラビアンナイト』なので、 その映像化は古くから行われてますが、実写で今簡単に見れるのは 本屋の500円DVDでよく売ってる1940~50年代のハリウッド製の一連の作品や、 決定版的作品である1950~70年代のハリーハウゼンの3本のシンドバッドシリーズでしょう。 アニメでは1962年公開の東映動画の古の作品や、 手塚治虫が制作した大人向けのアニメラマの1編の『千夜一夜物語』(1969年)がありますし、 さらには、TVの丸っこい少年キャラを主人公にした 1975年の『アラビアンナイト シンドバッドの冒険』、 それからあのディズニーの『アラジン』(1992年)もありますね。 今日のミニカーとしては、その中から『アラジン』の魔法の絨毯を用意しました(笑)。 だって昔のアラビアの話だから、乗り物って船かラクダかこの魔法の絨毯か、 魔法の木馬くらいしか無かったんだもんヽ(`Д´)ノ 御覧の通りのマックのハッピーセットで、硬質プラ製の全長7.6cm。 後輪に弾み車が仕込まれていて、強く押すとしばらく走ってくれます。 こういうジンの顔のシールが貼ってある台がセットで、勢いよく走らせてジャンプすることで 「空飛ぶ絨毯」を表現したかったんでしょうね(笑)。 シリーズとして絨毯に乗ったキャラが4~5人いるようですが、 全部集める気なんかサラサラありませんが何か(・∀・)? ええと、これだけだとあまりに手抜きなんで今日は別のアイテムも用意してます。 『シンドバッド七回目の冒険』よりサイクロップスとドラゴンです。 ドラゴンは最近出たエクスプラス原型のソフビで、ねこざかなさんから戴きました。m(_ _)m サイクロップスはビリケン製のソフビも持ってるんですが、倉庫の奥ですぐには取り出せないのと、 こちらの画面スチルから見てドラゴンに対し大きすぎるので、レジン製ガレージキットをチョイスです。 これは今から30年くらい前に香椎のトムソーヤでたしか4800円で売っていたモノで、 説明書きも無い白箱に入ってたので、たぶん個人モデラーの無版権・極少数生産品でしょう。 当時あの店は東京からの仕入れを始めたばかりだったんで、東京ならともかく 博多では売れないようなこんな品を仕入れてしまったんでしょうね…。 ネタ的にもマニアックすぎる上に、全高16cmしかなくいかにも割高だったんで、 しばらく棚の肥やしになってのを、『宇宙船』初期の号あたりでハリーハウゼンものを スクラッチビルドしてるのを見て、元々洋モノ怪獣も好きだったんで欲しかったけど、 当時は自分で作る技術は無かったんで諦めていた私が見つけてしまい、 数ヶ月の躊躇の末、とうとう買ってしまいました……_| ̄|○ サイクロップスでこの値段だから、ドラゴンがもし出たらウン万になるなぁと恐れつつ、 出ないままで数年が経ち上京した私は、青山のビリケンでソフビのサイクロップスを買ったんですが、 その際に、相方のドラゴンとして、スペクトルマンのミドロンのソフビが組み合わせて 飾ってあるのを見て、そのナイスアイデアに笑っちゃいました。 でも結局、ビリケンからもドラゴンは出ないまま、それからさらに20年以上経ち、 エクスプラスのが出たのは知ってはいたんですが、実際に目にする機会も無いままだったのを ねこざかなさんのおかげでやっと、この宿命の対決が再現でき、うれしい限りです!ヽ(´ー`)ノ 実は今日の主役はこっちで、これを紹介するために魔法の絨毯を手に入れたんだったりして(爆)。 さて、数々の奇想天外な話を繰り広げた『アラビアンナイト』はこのようにして終わります。 とうとう千と一夜目も過ぎ、自分の知る最後の話を終え朝を迎えたシェラザードは、 シャリアールの前に二人のあいだに生まれた三人の息子を連れてこさせ、 ため息まじりに、まだ自分を殺すつもりなのかと訪ねます。 いつも違うその様子に当惑したシャリアールでしたが、その答えはこうでした。「もちろん」、 「その気があるはずもない」と…。 そしてシャリアールはシェエラザードを正式な妃として迎え、 三人の王子と共に幸せに暮らしたんだそうです。 現代人の目で見ると、「おいおい殺された1000人の娘たちはどうなるんだ」とか 「シェエラザードにしたって、好んで我が身を差しだした訳ではないだろうに…」 なんて思いますが、そこはまぁ、大昔の夜伽話ですから…。 現代日本で、同じような目にはあったことはあるけど、1000人殺す権力にも、 シェエラザードのような理想的な女性に巡り会う幸運には恵まれなかった私としては、 せめて、蠱惑的な響きを奏でる「シェエラザード」の音楽に身を浸すことで、 さぞや妖艶だった違いないシェエラザードのため息を想像しながら、 今宵は筆を置くことにしましょうか……。
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